最近伊藤沙莉さんをめちゃめちゃ推している。
最初に存在を知ったのは、小5の時に放送され当時大変話題になったドラマ『女王の教室』だった。天海祐希さん演じる小学校の担任・阿久津真矢が冷徹な独裁者としてクラスに君臨し、子どもたちに乗り越えるべき壁となって立ちはだかるホラー系学園成長物語である。この際小学校を学園と呼べるのか?という問題は留保されたい。というか、そんなジャンルはない。言わずと知れた名作だが、正直私は中盤以降の記憶が一切ないのだ。最初の数話は確かに見ていたのだが、あまりにも天海さんが怖すぎてそれ以降の記憶がなく、もはや見ていたのかも見ていなかったのかも覚えていない。うっすらと「一人カラオケでストレス発散してる教員がいたような?」「教室に灯油ぶちまけて燃やそうとしてたやついたよな?」というとても記憶とは呼べない幻影のような何かが頭の奥に浮かんでは消えていくばかりで、とにかくトラウマ級の作品であった、ということしか覚えていない。本当はいつか見返したいのだがそれは他の出演作品を全部見てからになるだろう。
ではなぜ覚えていたのかというと、公式ガイドブックを小学校の図書室で借りたことがきっかけだった。当時にしては先進的だった母校の図書室では、子どもが頼めば流行りの本でも蔵書にしてくれたし、クラシック中心だが音楽CDもたくさん置いてあった。手当たり次第に本を読み散らかしていた小学生時代の私は、たまたま見つけた女王の教室の公式ガイドブックも借りて帰り、パラパラ眺めていた。そこに阿久津真矢のクラスのメンバーがずらっと載っているページがあり、「田中桃(伊藤沙莉)、ハスキーボイスのうんたらかんたら・・・」と書かれてあった。それで「ああなんか声に特徴あった子出ていたな、キューティーハニーも歌ってたっけ、なんか気になるな」と思い、初めて役名と演者の名前が一致して脳内の片隅に残ることとなった。
その後長い潜伏期間を経て、再び記憶の蓋が開いたのは私が社会人1年目の時に放送されたNHKの朝ドラ『ひよっこ』だった。米子さおりを見てああ女王の教室に出ていたあの人だ、とすぐ思い出した。ただひよっこに関してもそこまで熱心に見ていたわけではなく、会社の休憩室でお昼時にちょこちょこ見ているだけだった。どハマりした後家族から「米子本当に面白かったよ〜」と言われて自分の感度の低さにがっかりしたのは言うまでもない。今、ギリギリ言いながらNHKオンデマンドでひよっこを見ている。
それ以降テレビで見かける機会も増え、住友生命や大東建託のCMをはじめ、『これは経費で落ちません!』などドラマでも活躍していて「わ〜めっちゃ出てるなぁ」と思っていた。ただこの時点ではまだ今のようにどハマりしているわけではなかった。
自分の中で爆発的にツボに刺さったのは、『映像研には手を出すな!』であった。友人から薦められて何の気なしに作品を見ていたのだが、1話を見たところで主人公の浅草みどりの声がどうにも気になる。ちょっと低めの語りの声が気持ちいいのだ。これは面白そうだと思って本編を見終わり、エンディングで声優を確認したその時、「伊藤沙莉」の文字を見て戦慄が走った。…いや、これってあの伊藤沙莉なのか?女王の教室に出ていたあの伊藤沙莉?今ガンガンテレビに出まくってるあの伊藤沙莉なのか?どう考えても伊藤沙莉という同姓同名の女優がいるとは考えられないが、そんなことを考えるよりも早く「伊藤沙莉 映像研」でググり始める自分の指、そして画像検索でよくテレビで見ている顔が出てきた時の驚き…言われてみればどうやったって伊藤沙莉の声にしか聞こえないのだが、間違いなく彼女の声は「浅草みどり」の声としてアニメを形づくっていた。
この事実に直面した瞬間私は完全にやられてしまった。そしてこの人の声がもっと聞きたいと思った。
そんな中で4月から放送がスタートしたNHKの夜ドラ『いいね!光源氏くん』で、さらに心を掴まれてしまった。千葉雄大さん演じる現代に突然出現してきた光源氏と、それを受け入れる沙織殿の関係に終始ニヤニヤしっぱなしだった。ひかるくんとのコメディタッチのシーンと沙織殿の自己嫌悪が募ってシリアスになるシーンのギャップがもうたまらんといった感じで、この番組は本当に毎週の楽しみになっていた。何となくキャラ立ちがはっきりしていたり、単刀直入にものを言ったりする役が多い印象を勝手に抱いていたので、ちょっと控えめ・冷静・自信なさげ・責任背負い込みがちな沙織殿という役は意外なほど意外性があってとても味わい深かった。
『映像研』と『光源氏くん』のダブルパンチを食らった私は、いてもたってもいられずアマゾンプライムで色々な作品を見た。『獣道』、『パンとバスと二度目のハツコイ』、『全員片想い』…どれも素敵な作品で、彼女の存在感に引き込まれてしまった。特に獣道でのサラリーマン家庭に引き取られて実の娘よりも娘らしくなっていくシーンとパンとバスと〜での「ふみのことまだ好きだなって思うよ」とこぼすシーンは大きなフックとなって残っている。そのシーンだけ巻き戻して何回も見てしまった。(アマプラでサクッと見られるので気になる方はご参照されたい)
サイチャン(伊藤沙莉のsaireek channelというネットラジオ)を聴くようになったのもこの頃だった。確か最初に聴いたのはVol.54(外国語の擬音語・擬態語を当てるクイズを延々やってる回)で、何だかよくわかんないことをやっているなと思ったのだが、(これが番組の目玉企画である「道場シリーズ」の一つだと知るのはもう少し先のことだった)何回か聴いているうちに中毒になってしまった。独特の言葉遣い(いわゆる沙莉語)がすごく気になり、毎回の放送で新しい言い回しを聞くたびに頭を抱えて笑っている。
『トランジットガールズ』では涙が止まらなかったし、『ペンション・恋は桃色』では他の登場人物との距離感がツボだった。最近公開されたステップも劇場も見た。映像作品を色々と見るようになってグッときたポイントは、絶妙な表情である。突然で困惑しているけど嬉しい、とか、ムカつくんだけど面と向かって文句は言えない、とか、そういう複合的な表情にすごく見応えがある。あと眉毛の動きがめっちゃ好き。
そんなこんなで伊藤沙莉さんから目が離せない。何より嬉しいのは、伊藤沙莉さんが同世代(しかも同い年)だということ。今後の作品でどんな一面を見せてくれるのか、というのが楽しみなのはもちろんそうなのだが、それにも増して、彼女の活躍を見ながら、あの作品の時は自分はあんなことしていたなと思い返せると思うと嬉しくて仕方がない。私が好きでい続けさえすれば自分としては一生楽しめる可能性も十分あるわけで、ほぼほぼ永久機関を手に入れたようなものである。
極論すれば何かしらの映像に出演されて何かしらの言葉を発している姿を見ることができれば個人的にはそれだけで気分が明るくなるので、今後もちょこちょこと見続けたいなと思っている今日この頃である。
追記(20/9/26)
このブログをTwitterで垂れ流したところ、親愛なるフォロワーさんから「ガイドブック持ってました!」のリプをいただきました。まさかそこで共感してもらえるとは...しかもご実家に帰省された際にわざわざ探してくださったそうで感無量。画像をいただいたので是非共有させてください。長い文章書いて本当によかった。。ありがとうございました!
こちらが表紙。画像だけで怖さが溢れていらっしゃる天海さんです。
そうそう!こんな感じでメンバーが載っていたんですよね。進藤ひかる役の福田麻由子さんは先日『蒲田前奏曲』の舞台挨拶で生で拝見しまして、とても素敵な女性!といった感じになっていらっしゃいました。
そしてこちらが沙莉さん。「愛らしいルックスにハスキーボイス、そして驚異的な勘の良さ」って最高か...? 当時多分私はハスキーボイスの意味がよくわかっておらず(それっていうのはいったい高い声なの低い声なのどっち?みたいな)このページで「ああ、あの子みたいな声をハスキーボイスって言うんだな」と納得したような気がしてます。伊藤沙莉さんは私にとって "「ハスキーボイス」という言葉の意味を教えてくれた人" でもありますね(謎)
最後に近日公開予定の伊藤沙莉さんご出演作品等の一覧を掲載いたしまして、一旦辞めさせて頂きます。
『伊藤沙莉のsaireek channel』
https://park.gsj.mobi/program/show/40889
こちらから聴くことができます。隔週土曜日配信。今日からあなたもサイリーク!
『ステップ』 7/17〜公開中
『劇場』 7/17〜公開中(Amazon Primeでも配信中)
『蒲田前奏曲』 9/25〜公開中
https://motion-gallery.net/projects/kamatapreludefilm
『小さなバイキング ビッケ』(声の出演) 10/2
『とんかつDJアゲ太郎』(友情出演) 10/30
https://wwws.warnerbros.co.jp/agaru-movie-tdajp/
『十二単衣を着た悪魔』 11/6
『ホテルローヤル』 11/13
https://www.phantom-film.com/hotelroyal/
『タイトル、拒絶』 11/13
それではまた。