みなさん the pinballs というバンドをご存知だろうか。
とにかくかっこいい。聞けばわかるからまず聞いてみてほしい。
特に昨今の「高い声でダンスっぽいビート刻んでおけばおk」みたいなバンドが好きな人と、それに飽き飽きしている人に、聞いてほしい。
本当は道行く人全員にイヤホン突っ込んで聞かせて回りたいのだがそんなことをすると捕まってしまうので、これを書くことで満足することにする。
この濃厚なギターサウンドと、ヨーロッパの旧市街を彷彿とさせる(わかってくれ)破滅的な歌詞。
君も感じるはずだ。感じなければ人間ではない。
まずイントロからなんだか不吉な感じがする。そして一気に食い気味でリフが畳みかけ、pinballsの世界に引き込まれる。
ギターを弾いたことがない人でもこんなフレーズを弾きたくなるだろう。
歌詞も忘れちゃいけない。
なだらかな丘ではなく
切り立った崖に噛みついて
そして転げ落ちるだけ
牙を捨て並べられ
剥製のように生きるよりは
いっそ死んだほうがまし
この二つのサビ前の歌詞の絶望感と臨死感は半端ない。特に安穏と日々を過ごしている大学生にはぐさっと来るんじゃないだろうか。いや来てほしい。
こんなゴリゴリの曲もあるかと思えば、ちょっとポップな曲もある。
それでも歌詞のpinballs節は健在で、
神様と並ぶには小さすぎる体で
風に吹かれよう
震えながら歩こうぜ
なんて粋なことを言ってくれる。
結構日本語ロックの歌詞は「俺はやれる!」or「全てが虚しい」or「意味不明」とはっきり分かれがちなので、自分の存在の小ささを肯定的にとらえて、だからこそ死ぬ気でやっていこうよっていう感じは最高にかっこいい。
最後に多分どうしても彼らのことをブランキーやミッシェルの焼き直しだという人がいるので、決定的な違いを突きつけておきたい。
それは、pinballsはゴリゴリロックに変な歌詞だけど、圧倒的にオシャレだってことだ。
ブランキーもミッシェルも、絶対に嫌いな人は存在する。
「うわ、声高すぎてキモ」とか「ガラガラ声ちょっと無理」とか「ディズニーランドに行くやつ気が狂ってるとかお前の方が気狂ってんだろ」とか、そういうやつだ。
でもpinballsには微塵もそんなところがない。収まるべきところに収まっている。
だけどブランキーやミッシェルに劣らず自分たちの世界ははっきりしている。楽曲の統一感がそれを物語っている。
歌詞よし、メロディよし、ビジュアルよしの骨太ロックバンド。
こんなバンドが売れることを切に願う。